法律や条例など、ドローンを飛ばす上で守らなければならない事は多々ありますが、意外と盲点で見落としがちなのが「温泉施設」の存在です。
ドローンには基本的にカメラが付いていますし、一般の人もドローンにはカメラが付いているものだと思っているため、飛行させる場所によっては「盗撮」に疑われてしまうわけです。もし温泉に入っているところに突然ドローンが飛んできたら「あれ、盗撮か!?」と疑ってしまうのも無理はありませんよね^^;
私自身、実際に撮りたい場所の地権者に許可を得ようと思ったら、すぐ近くに温泉(露天風呂)があるということで、「そこの温泉施設がOKなら飛ばして良いよ」と言われ、温泉施設に連絡したところ、結果的に飛行を断られた経験があります。
今回はその時の経験談も交えながら、温泉施設周辺でのドローン飛行について書いていきます。
飛行する場所の近辺に温泉施設がある
ドローン飛行する前の準備段階として、
①法律と条例を確認
②地権者へ許可を取る
と思いますが、見落としがちなのがその近くに温泉施設があるかどうか、つまり露天風呂があるかどうかです。露天風呂は外にある温泉であり、地上からは見えなくても上空からだと見えてしまうことはよくあります。
もし温泉に入っている時に、急にドローンが近くを飛行していたら、どのように感じるでしょうか?おそらく多くの人は良い思いはせず、逆に不快に思うはずです!
ということで、温泉施設(露天風呂)がある周辺でドローンを飛ばす場合には、事前に連絡してその温泉施設に飛ばしてOKか確認しておかなければなりません。
そうしないと最悪の場合、温泉の利用者や施設側から訴えられてしまう可能性もありますし、実際に飛ばしている最中に警察に通報されてしまう事も考えられます。
盗撮になってしまう・・・
結局、温泉は裸で入る場所ですから、カメラとの相性はとても悪く、許可を得ずに撮れば盗撮になってしまいます。もしそれが故意的でなくたまたま映ってしまった場合でも非常にマズいです。
もし飛行させる近くに温泉があるなら、自分が知らずに盗撮犯になってしまう可能性もあるため、飛ばす前に最大限の注意を払う必要があります
また、温泉施設周辺でのドローン飛行は、温泉施設側もとても敏感になっていまして、それは風評被害などで「あそこの温泉の近くはドローンがよく飛んでる」なんていう噂が出てしまったら、それこそお客さんが来なくなってしまうことも考えられますから、営業問題に関わってくるわけです。
温泉施設側は少しでも盗撮と疑われることを排除することは当然のことですし、その可能性が少しでもあるなら極力ドローンの飛行は許可しないわけです。
【経験談】実際に断られたケース
つい先日、実際に温泉施設の近くでドローンを飛行させたいと思い、そこの温泉施設に飛ばしてOKか連絡したものの見事に断られてしまいました^^;
場所:愛媛県東温市にある「見奈良」の田んぼ
被写体:菜の花畑
時期:菜の花祭り1週間くらい前の平日
備考:畑は道のそば、平日は人がいない
温泉施設(露天風呂)が、被写体となる菜の花畑の近くにありますので、飛ばしてしまうと露天風呂が映る可能性が高いわけです。
①畑の地権者に電話
まずは菜の花畑を管理していると思われる団体に電話。
「温泉施設があるのでご遠慮していただいている」
と予想通りの答えが返ってきました。
私は露天風呂があることは知っていたため、あらかじめ公式ホームページで温泉の利用時間を調べていました。すると、午前5時〜9時までは内湯のみの営業で、午前9時〜10時までは点検のため完全に営業していないとのこと。
その旨を伝えてみたところ、「もし温泉施設に連絡してそこがOKならいいですよ」との前向きな回答が得られました。
②温泉施設に電話
続いて、温泉施設に電話しました。
最終的に支配人の方から「それはこちら側で協議させてもらいます」と言われ、それから数時間が経った夕方頃に連絡が来ました。
「結論から言うと、許可できない」という回答。
午前5〜9時は内湯だけの営業だったとしても、万が一のことがありますから理解できても、午前9〜10時は完全に温泉には入れませんので、「盗撮になる可能性はゼロじゃないですか?」と少し食い下がってはみましたが、「風評被害になっても困りますし…」みたいな感じで、結局許可してもらえませんでした(T . T)
責任を取りたくない心情
理由が先程も紹介した「風評被害」というものでした。
確かに全くのゼロではないと思いますが、平日の昼間で温泉の利用客もあまりおらず、しかも営業時間外にもかかわらず風評被害…
まぁ納得できない回答ではありますが、結局のところ「もし何かあったら」「責任を取りたくない」と考える人が特に上層部には多いですので、本人もおっしゃっておられましたが「少し過剰」な判断をするわけです。
さらには「テレビ局もお断りしている」と言っていましたので、もしそれが本当なら個人じゃ撮れないですよね。
結局、一生あそこの菜の花畑をドローンで撮ることはできないわけなんですけど、おもしろいことに、YouTube上には撮りたかった菜の花畑の空撮映像がたくさんあります(笑)
皆さん許可取ってないんですね^^;
交渉次第でなんとかなる場合も!
やはり許可取りの際には、会社か個人(趣味)かというのは重要だと思います。
日本人は特に権威があるところには弱いですので、テレビ局や空撮会社などの「会社」であれば比較的許可は下りやすいですが、個人の趣味レベルでは門前払いされるところも多々あります。
そしてまた、交渉も大事になってくるかと思います。
私は交渉が下手ということで今回は飛ばせませんでしたが、場所によってはおそらく交渉次第で飛ばさせてくれるところもあると思います。
さすがに温泉施設が営業中で、露天風呂に人がいる状態で許可は下りませんが、
- 掃除や点検の時間で人が絶対にいない時間帯
- カメラを向けない+高度を指定するなど最大限の配慮を伝える
- 撮影した全データを施設の人に確認してもらう
などのように条件を示せば、必ずしも絶対にダメということはないと思います。
私みたいに営業時間外にもかかわらず風評被害が… などと言われてしまえば無理かもしれませんが、どこも全てがそんなことではないと思いますので、温泉があるからといって諦めずに交渉してみる価値はあると思いますね!
まとめ
温泉施設の近くでのドローン飛行に関して、経験談も交えて紹介しました。
もし地権者から許可をもらったとしても、温泉が近くにあれば、管理している施設に連絡するのは欠かせません!
温泉とカメラは相性がとても悪いため、警察沙汰になったり訴えられることも考えられますので、知らずに加害者にならないためにも、盲点である「温泉」の有無は事前に確認しておくべきですね。