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素人には極めて危険!熊撃退スプレーは絶対に持ってはいけない理由

その他

熊撃退スプレーを実際に誤って顔などに浴びたことがあり、その危険性を身を以て体験したことのある人間が書いています

近年、熊に襲われるニュースが頻繁に取り上げられることもあり、森や山へ行く登山者やハイカーらは熊対策として「熊撃退スプレー」を購入しているケースが増えています。

最近ではそのことに警鐘を鳴らしてる記事も見かけますが、この熊対策として知られている「熊撃退スプレー」を素人が扱うのは非常に危険絶対に買ってはいけません!

中身は猛獣を戦闘不能にする強力な成分で、もしそれが顔に降りかかってしまったら、最悪の場合失明してしまう可能性だってありますよ!

この記事では、素人が熊撃退スプレーを持ってはいけない理由やスプレーの中身、熊への対処方法を解説していきます。

熊撃退スプレーを素人が持つべきではない理由

素人が持つべきではない理由は主に以下4つです。

  • 北米の大型猛獣用で中身の成分が強力
  • 浴びると失明・重い後遺症が残る可能性
  • 決まった状況下でしか使用できない
  • 有効期限もあり、処分するにも面倒臭い

市販されていて誰もが買えてしまう熊撃退スプレーは、その危険性を説明することなく販売されており恐ろしい限りです。

買っている皆さんは持ってると安心するようですが、実際には熊よりも熊撃退スプレーのほうが危険だったりします。

それでは、持つべきではない理由4つを詳しく解説していきます。

北米の大型猛獣用で中身の成分が強力

市販されている熊撃退スプレーのほとんどが、北米に生息するグリズリーやホッキョクグマなどひと回り大きな熊を撃退するためのスプレーです。

製造されているのは日本ではなく、北米からそのまま輸入したものであるということ。

上記のことから、3つの懸念点があります。

  • 日本の熊(特にツキノワグマ)には刺激が強すぎる
  • みずから危険な目に遭う可能性が増す
  • 日本人が使用することを考慮されていない

まず、刺激が強すぎます。ヒグマにはギリギリ使えますが、ツキノワグマには強すぎてかわいそうなレベルです。動物虐待や生態系を破壊してしまう可能性もあります。

大型の猛獣を撃退するスプレーですから、それが誤って自分に降りかかってしまったらどうなるのかは想像できますし、そもそも日本のものではないですから、その辺を配慮して作られてません。

日本製なら降りかかっても大丈夫なような製品を開発すると思いますが、そうではないことを頭に入れておきましょう!

熊撃退スプレーの中身

熊撃退スプレーの中身を知らない人は多いと思います。

なかに入っているのは唐辛子です。つまり辛い成分。これを熊の顔面に向けて勢いよく噴射するわけですが、辛い成分が口や鼻、喉に付着したらどうなるのかは想像できると思いますし、これは人間も同じです。

この辛い成分は「カプサイシン」というもので、市販されている熊撃退スプレーはその濃度が高く、その辛さの値を示すSHU値は320,000もあります!

タバスコやチリパウダーと比べると数十倍から100倍くらいの辛さがありますので、これをまともに食らうと大型獣でも戦意喪失です。

猛獣たちは鼻が敏感なので、辛いものは効果抜群なわけです!

水性ではなく「油性」

熊撃退スプレーがやっかいなのは、成分が「油性」であること。

油性の場合なにが問題なのかと言うと、水で洗い流せないことにあり、目に入ってしまった場合など、痛みが取れることなく長引いてしまい、症状が悪化する可能性があるのです。

人間に使用する催涙スプレーは「水性」ですので、水で洗い流せば痛みは短期間で取れることが多いですが、熊撃退スプレーは油性なので、これが熊撃退スプレーのやっかい点です。

浴びると失明・重い後遺症が残る可能性

熊撃退スプレーを持つべきではない一番の理由がコレです。

どう猛な大型獣を撃退できるスプレーを、もし人間が浴びてしまった場合大変なことになります。目に入ってしまえば最悪の場合失明の可能性もありますし、皮膚に付着すればただれてしまいます。

たとえ少量降りかかったとしても、以下のことが実際に起こります。

  • 喉に成分が付着して違和感を覚える
  • 咳が止まらなくなる
  • 目が全く開けられず涙が止まらない
  • 皮膚が焼けるように痛い

水性ではなく「油性」なので洗い流せません。当時はそんなことも知らず、必死に目を洗ったり石鹸で皮膚を洗ったりしましたが、全く症状が治らなかったのを覚えています。(経験談)

顔面に少量降りかかってしまった時の話…

当時は熊撃退スプレーに関する知識はゼロ。

ただ単に北海道=ヒグマ=危険という認識だけで熊撃退スプレーを持って行きました。

秋頃、山を登っていると熊が出てきそうな雰囲気(?)がしたため、熊撃退スプレーを手に取り、いつでも噴射できるように安全装置を外して親指をレバーの上に置いていました。

緩い坂を登っていたとき、なんと地面が濡れていて思わず滑ってしまったのです。その途端、無意識に親指に力が入り、倒れると同時に地面に向けて噴射してしまいます。

倒れたため顔が地面近くにあり、地面に噴射した熊撃退スプレーの中身が跳ね返って顔に少し掛かってしまったわけです。

安全装置を外して歩くなんて正直あり得ません…。なんの知識も持たずに使おうとするとこうなります(T . T)

■直後から翌日まで地獄

降りかかった直後から地獄が始まりました。

目は全く開けられず涙が永遠に流れ、スプレーの成分が付着した皮膚は焼けるように痛く、付着した手でほかの部位(皮膚)を触ると、そこも焼けるような痛みがあり…

水で目を洗い流すものの効果はなく、温泉施設のシャワーで目を洗い流すものの効果はなく、ボディーソープで付着した部位を念入りに洗い流すも効果なく…

どうすることも出来ず宿に行ってとりあえず就寝。数時間寝て起きると多少は大丈夫だったものの、突然目に強烈な刺激が襲いかかり、再び目を一切開けられず涙が流れるの繰り返し。

翌日、皮膚の痛みはだいぶ治ったものの、目に関しては大丈夫かと思いきや突然強烈な痛みが。ずっと続くわけではなく、時間が空いて突然目が開けられなくなる… の繰り返し。

翌々日、皮膚から痛みは消え、目に関しても強烈な痛みが襲うことはなくなり、それ以降は何事もありませんでした。

まともにかかると失明する可能性あり

熊撃退スプレーを浴びてしまった場合、最も心配なのが失明の可能性

わたしは少量だけで間接的に降りかかっただけで地獄でしたから、もろに直接かかったら失明してしまうのでは?と本気で思います。

失明とまではいかなくても、視力に悪影響を及ぼすこともあるでしょうし、のちに症状が現れてくる可能性だって否定できません。

誤射してしまうと失明や視力の低下など重大な後遺症が残る可能性がありますし、まわりの人間にもそれを負わせてしまう可能性があるのです。

決まった状況下でしか使用できない

熊撃退スプレーは適切な環境下でないと使えません。

成分が強力なため、使用する際には自分に絶対にかからないこと熊の顔面に命中させることです。

熊撃退スプレーが使える環境が以下のとおり。

  • 風上から風下にかけて噴射する(自分が風上側)
  • 周辺に人いない、民家などがない
  • スプレーの射程距離3〜5mの至近距離で噴射する

この3つの条件が揃っていないと使えませんし、これを守らないと自分やまわりが大変なことになってしまいます。

結果的にこの条件下で冷静に噴射することは素人にはほぼ不可能なので、結局のところ持っていても使えないのです!

風上から風下にかけて噴射する

熊撃退スプレーを噴射する際には、自分が風上にいる必要があります

要するに、噴射した中身が風に乗って自分のほうへ戻ってこないよう、自分から熊の方向に風が吹いている状況でしか使用できないということ。

もし突然熊が目の前に現れたら熊撃退スプレーを構える余裕はないと思いますが、たとえ余裕があったとしても風の向きまで瞬時に把握する余裕はありますか?

おそらくほとんど人はパニックになってそんな余裕はないでしょう。パニックになれば熊撃退スプレーを即座に噴射してしまうかもしれません。そうなると自分やまわりに掛かってしまう事態になりかねません。

熊に出くわした時に、自分が風下にいたら噴射はできませんし、そのような判断をすることもできないでしょうから、結局使えないのです!

周囲に人がいない、民家がない

風の吹く方向も関係してきますが、周囲に人がいたり民家があったら絶対に使えません。

熊撃退スプレーはほんの少量でも、離れた場所であっても、吸い込むと咳が出たり苦しくなります。

近くに他人がいると、その人たちは突然スプレーの中身を吸い込むことになり危険、少し離れた場所に民家があると、そこにまで風に乗って中身が流れて危険。

他人がおらず、なおかつ民家もない隔絶した森や山のなかでしか使えないということを認識しておく必要がありますし、週末の登山道などでも人がいるため使えません。

3〜5mの至近距離で噴射

熊撃退スプレーの射程距離は3〜5mほどしかありません。

スプレーは熊の至近距離で噴射しないと意味ないです。

風が横に吹いているときは5mも届かないこともあるため、確実に撃退するには3mほど接近していないと噴射できないのです。

では、果たして熊と至近距離でそこまで冷静でいられるでしょうか?

おそらく多くの人はパニックになり、まだ射程範囲にいないのに誤って噴射してしまうこともあるでしょう。そうなると、熊は撃退できず逆に興奮させてしまい、攻撃される可能性が上がります。

使うには確実に吹きかけられる至近距離である必要があり、その状況下で風も読んで冷静に対処できるかと言われれば、素人ではまず難しいですね!

有効期限もあり、処分するにも面倒臭い

ネットでもアウトドア店でも誰でも買えてしまう熊撃退スプレーですが、処分方法まで考えて買う人はいません。

たとえ熊撃退スプレーを買ったとしても、使う機会はまずないと思いますし、スプレーには3〜5年の有効期限があるので、使わなかった場合には適切に処分する必要があります。

ネット上の情報を頼りに処分するのは危険ですので避けるべきですし、引き取ってくれるところを探してもなかなか見つかりません。見つかったとしても遠かったりしますからお金が掛かりますし、スプレーということでそう簡単にも送れません。

中身が中身だけに普通のスプレーのように処分できないため、安易に買ってしまってもその処分方法に困りますので、それでしたらそもそも使わないこともあり、最初から買うのは避けるべきなのです。

熊撃退スプレーを持つべき人?

熊撃退スプレーは素人は絶対に持つべきはありません。

持つべき人は非常に限られた以下の人たちだけです。

  • 北海道のヒグマ出没地に頻繁に立ち入る人
  • 知床などで熊に接近する撮影カメラマンなど

まず、北海道以外で北米から輸入した熊撃退スプレーは必要ありません

北海道でも登山道以外を歩く場合であったり、知床など熊が頻繁に出没する場所を散策するのでない限りは持つ必要はありません。

必要なのはヒグマがいる環境で仕事をするプロのみです。しかも、実際に噴射して練習しておく必要がありますし、そもそも熊に対する知識を持っている人でないといけません。

それ以外の人は持つ必要はないです。

素人でも持っておきたい気持ちは理解できるが…

絶対持つなとは言っても、皆さんの「でも・・・」という気持ちは理解できます。

わたし自身も以前はそう思ってましたし、危険性を知らないとそう思ってしまうのも無理はありません。

とにかく持っているだけで安心感が生まれるんですよね。別に使わなくても「こっちには熊撃退スプレーがあるから大丈夫」と心のどこかで思っていて、いざ熊がいる森や山へ行っても必要以上に不安にならないのです。

日本人は心配性の人が多いのもあって、なにかあった時のことを考えてつい万全な準備をしてしまいがちですし、そうなるとやはり撃退できる熊撃退スプレーに手を出してしまいます。

そんな気持ちは十分わかりますが、それでも素人は絶対に持たないほうがいいです。理由は、中身が強すぎる、ミスったら失明など重症を負う羽目になる可能性がある、実際に持ってても使えない…

熊撃退スプレーはお守り程度の役割しか果たしませんので、それなら最初から持たずに、そもそも熊を寄せ付けない対策であったり他の対策を考えたほうがいいということです。

実際に無知なまま持って行き、散々な目にあったわたしが言っていますので、嘘だと思って熊撃退スプレーという選択肢は見送ることをおすすめします!

熊対策はどうすればいいのか?

熊撃退スプレーが効果を発揮するのは3〜5mの至近距離ですから、最終手段として使うものです。

そもそも論として、熊と出会わないことが大事であってそこに注力したほうがよく、万が一にも出会ってしまった場合の対処法をしっかりと身につけておけば、熊に襲われることはほとんどありません。

繰り返しますが、第一に考えるべきは熊と出会わない・寄せ付けない方法です。これは一般的に言われていることですが、襲われないためにはこの対策が全てです。

鈴やラジオなどで音を出して存在を知らせる

熊を寄せ付けない方法の定番中の定番ですが、熊は臆病な生き物なので、普通は人間の存在に気づけば向こう側から離れてくれます。

森や山へ入る際には出来るだけ音を立てることを推奨します。

特に普段熊が聞き慣れていない鈴の音やラジオの音、人間の会話音などが聞こえてくれば、すぐに異変を察知して逃げます。

注意すべき点は、沢や川では鈴をつけていても音でかき消されてしまい、向こう側も気づかず鉢合わせすることがありますので、沢や川で釣りをする人は要注意です。

遠くに発見したら自分を大きく見せて後ずさり

自分と熊の距離が20m以上離れている場合は、焦らず叫ばず逃げることなく冷静に。

熊が気付いていないのであれば、そのまま後ずさりするのがよく、もしお互いに気付いているのであれば、熊と視線を外さず、出来るだけ大きく見せて徐々に後退していくと良いです。このときに叫んだりすると逆効果で襲ってくる可能性もあるので、無言で慌てないのが大事です。

20m以上離れていれば、向こう側は様子見してきますが、こちら側が刺激をしない限りは襲ってくることは少ないです。

向かってきたら鉈で戦う&防御姿勢をとる

こちらは至近距離まで近づいてきたときの対処方法。

数メートルまで近づいてきたら、もう戦う覚悟が必要です。

選択肢としては2つ。

  • 持ってるものを武器にして戦う
  • 防御姿勢を取りその場をやり過ごす

戦うか防御に徹するかはそのときの持ち物など状況次第。

鉈などを武器に戦う

戦う場合には武器が必要ですが、そこで有効なのが鉈(なた)です。

鋭い刃物を熊の顔面に切りつけることで、上手くいけば熊は痛くて逃げて行ってくれるかもしれません。ただ、この状況では熊と急接近していることから、爪で引っ掻かれてしまう可能性はあります。

防御姿勢を取ってやり過ごす


画像:知床財団

基本的にツキノワグマであれば肉食ではないので人間は食べませんし、そもそも近づいてくるのは熊の防衛本能や好奇心であることから、動かない人間にはさほど興味はありません。

なので、防御姿勢を取ってやり過ごすも有効と言われています。

上の写真のように、太い血管が通っている首裏のあたりを手で覆い、うつ伏せになることで熊が攻撃してきても耐えることができます。背負っているリュックも守ってくれますし、こちらは致命傷を負いづらい姿勢です。

水性の熊撃退スプレーなら検討の余地あり


画像: Amazon

素人は熊撃退スプレーを持つべきではありませんが、唯一検討の余地があるのは、「水性」で辛さを抑えた人間にも使える催涙スプレーです。

水性ということは「油性」と違って万が一降りかかっても洗い流すことができますし、しっかり成分を洗い流せれば1時間ほどで痛みが治まり、深刻な後遺症にはなりづらいです。

日本の国立公園や地方自治体などにも採用されているスプレーということで、一般的に流通している北米から輸入された熊撃退スプレーよりもはるかに安全度は高まります。

検討の余地があるスプレー

上記のスプレーが検討の余地があるものです。

Amazonなどで「熊 スプレー」と検索すれば一番上に出てきます。

「B-610」(大型)「B-609」(中型)がありますが、違うのはサイズだけですので好みのサイズを選べばOKです。

大事なことは、この熊撃退スプレーは実際に腰などに取り付けてすぐ取り出せるようにしておく必要があり、リュックに入れっぱなしでは意味がありません。

よって、スプレーを収納するホルスターも必要ですので、合わせて買うようにしましょう。

推奨はしません

個人的にはいかなる熊撃退スプレーも持つことは推奨しません。

このスプレーであれば危険度は断然低くなりますが、それでも自ら降りかかってしまうと大変ですし、風上などをしっかり判断して噴射する必要があり、処分方法も紹介したように面倒です。

また、持つことで安心してしまい、熊を寄せ付けない対策など怠ってしまいがちですので、登山やハイキング程度では持つ必要はありません。

こんなスプレーは危険なのでダメ

よく見かける上の写真のような熊撃退スプレーは、すべて北米から輸入された、グリズリーやホッキョクグマなどを撃退するための、「油性」で強力な成分を含むものですので、購入すべきではありません。

実際に買っている人も多く、口コミには高評価が並んでいたりしますが、皆さんおそらく実際に使ったことはないでしょうし、その危険性を知らずに持っている人がほとんどですので、参考にすべきではありません。

ちなみに、私が浴びたのはカウンターアソールトという非常に高濃度な辛さを誇る熊撃退スプレーです!購入は厳禁ですよ!!!

まとめ

熊撃退スプレーの危険性や持つべきでない理由を解説しました。

日本では熊撃退スプレーに対する警鐘がほとんどなく、誰でも購入可能な極めて危険な状況にあります。

わたしは実際に少量浴びてしまい数日間は地獄でしたから、これを他人が大量に浴びてしまったらと思うと想像するだけで憂鬱です。

熊撃退スプレーは本当に危険なことは身を以て知ってますので、同じような被害者が出ないためにも、まずは持たないことが大切です。