手でドローンを離着陸させる「ハンドリリース」と「ハンドキャッチ」ができたら便利なのになぁと思っている方は多いのではないでしょうか?
地面が平でない岩場や砂場、船などから離発着させる場合、ハンドリリースとハンドキャッチは必須とも言えますので、ぜひ習得しておきたいところです。
実はコツさえ掴んでしまえばとても簡単で、わたし自身もう3年くらい地面から離発着させておらず、すべてハンドリリース・ハンドキャッチです!
この記事では、ハンドリリースとハンドキャッチをやる際の注意点と実際のやり方について解説しています。
離発着時はプロペラが自分に接近するため危険はありますが、習得できればどんな環境でも離発着できて便利ですので、ぜひマスターしましょう!
ハンドリリース・ハンドキャッチのやり方
ハンドリリース・ハンドキャッチには、やりやすい機体とやりにくい機体が存在します。
Phantomはキャッチする部分(脚)があるので簡単ですが、現在主流のMavicやAirシリーズはキャッチする部分が狭く、プロペラが手に接近するため危険を伴います。
今回紹介するのは、もっとも危険なMavicやAirシリーズでのやり方です。
MavicとAirで出来るようになれば、ほかの機体でのハンドリリースとハンドキャッチは簡単にできますよ!
ハンドリリースのやり方
手から離陸させるハンドリリースは、ハンドキャッチよりも難易度は低く、数回練習すれば誰でも簡単にできるようになります。
顔の近くでプロペラ(モーター)を始動させるため、プロペラが4箇所しっかり固定されているかの確認は必須!これをやらないとプロペラが抜けて顔に直撃…なんていう事態になりかねません(T . T)
- ドローンとプロポの電源ON
- 右手にプロポ、左手にドローン
- 両方のスティックを斜め内側に倒す
- 右側のスティックを真上に倒す
ドローンとプロポの電源ON
ドローンとプロポの電源をどちらもONに。
ドローンのプロペラはまだ回す必要はありませんので、ただ電源をONにしておくだけでOK!DJI FlyアプリやGO 4アプリを立ち上げてすぐに飛ばせるよう準備。
右手にプロポ、左手にドローン
※モード1で説明します。モード2の場合は左右逆になります
- モード1で操縦:右手にプロポ、左手にドローン
- モード2で操縦:右手にドローン、左手にプロポ
ハンドリリースする際にはスティックを上に倒しドローンを上昇させる必要があり、モード1は右側のスティック、モード2は左側のスティックを上に倒すことで上昇します。
いざハンドリリースするときには、左手に持っているドローンを目線よりも高く上げます(できれば頭の上まで)。プロペラを回すことになりますので、万が一プロペラが抜けてしまっても大丈夫なように目よりも高い位置で構えましょう。
まわりの人も危険ですので、できれば離れて行うといいですね!
プロペラの付け間違えに注意
プロペラは取り付ける位置が決まっていますので、正しく装着されているか必ず確認しましょう。間違って付いたままプロペラを回転させると、機体がバランスを失って顔や手に当たる可能性が高く非常に危険です!
ドローンの持ち方は、手のひらで下から持つような感じです。
ドローンをしっかり持ってしまうと指がプロペラに接触してしまう可能性がありますので、どちらかと言うと指で掴むような感じです。
ドローンはカメラが付いている方を前側に向け、後側を自分のほうに向けて持ちます。
Miniシリーズなどの軽い機体の場合は、逆の掴み方でも大丈夫です!
両スティックを斜め内側に倒す
ドローンのモーターを回す(プロペラを回す)には、両方のスティックを「ハの字」に倒すか「逆ハの字」に倒す必要があります。
ここでは逆ハの字に倒す方法で紹介します。
機体は目よりも高い位置にあるので、左手は上がってる状態。この状態で、左右のスティックを逆ハの字に同時に倒すわけですが、右側は親指でスティックを内側に倒し、左側は高く挙げている左手の肘あたりを使ってスティックを斜め内側に倒します。
左手はドローンを高い位置で構えていて操作できないため、肘あたりを使って上手くスティックを倒します。同時に左右のスティックを入れるとプロペラが回転し始めます。
体勢的に少しキツイかもしれませんが、絶対に左手は下げないようにするのが大事!
右側のスティックを真上に倒す
プロペラが回転したら、あとは右手の親指でそのままスティックを上に倒せばドローンは上空に飛び立ちハンドリリース成功となります。
完成形はこんな感じ!
ハンドリリースに慣れてしまえば、逆に地面からの離陸は避けたくなります。
プロペラが正しく装着され、機体を構える位置を忘れなければ怪我をする可能性も低いですし、わたしは離陸させる時は100%ハンドリリースですが、一度も怪我をしたりプロペラに接触したことはありません。
しっかり注意すべき点だけ押さえておけば、簡単に手元からドローンを飛ばせるので、これはぜひマスターしておきたいです!
自動離陸機能は必要なし!
ハンドリリースをするのに自動離陸装置を利用するのも一つの手ですが、こちらは基本的には不要。
ただ、モード2の人でスティックを倒すよりも画面を操作したほうが離陸させやすいならやってもOKです。
これだけは気を付けるべき注意点
- プロペラが正しく固定されているか
- 目より高い位置から離陸させる
- 指を怪我しないように機体を持つ
- 離陸前は周囲の状況を確認する
- GPSを捕捉するまで待つ
- 強風ならやめる
プロペラが正しく固定されているか
ハンドリリースをする際にはプロペラと顔が急接近しますので、プロペラの正しい位置にしっかり固定されているか事前に必ず確認しましょう。
ここをミスると怪我する可能性が高いですよ!
目より高い位置から離陸させる
プロペラを正しく固定したとしても、なんらかの理由で抜けてしまう可能性もゼロではありませんので、その場合に備えて必ずドローンを目や頭よりも高い位置から飛ばしましょう!
指を怪我しないように機体を持つ
手が大きい人や指が長い人は、ドローンの持ち方によってはプロペラに接触してしまう可能性が高いですので、手全体で掴むというよりは指で掴むことをお勧めします。
ドローンを掴まずにただ手のひらに乗せておくのも危険ですので、指でしっかり掴むイメージでドローンを持ちましょう!
離陸前は周囲の状況を確認する
ハンドリリースの際には、自分の近くに人がいないことを確認し、万が一プロペラが外れて飛んでいってしまっても大丈夫なようにしておきましょう。
ハンドリリースは少し高い位置でモーター(プロペラ)を回すため、地面でモーターを回す時よりも広範囲に飛んでいきますので危険です。
GPSを捕捉するまで待つ
できるだけGPSを捕捉したことを確認してから飛ばしましょう。
ポジショニングセンサーが機能していれば大丈夫かとは思いますが、念のためGPSが届く環境下でのハンドリリースが望ましいですね。どうしてもという場所以外は、基本的にATTIモードでのハンドリリースはお勧めしません。
ATTIモードですと、ハンドリリース後にすぐドローンが流され始めてしまいますので、自分も危険ですし、離陸場所の空間が狭いと衝突して墜落してしまう可能性も高くなります。
強風ならやめる
GPSを捕捉できていれば多少の風なら問題ありませんが、強風だと機体がホバリングするためプロペラの回転速度があがっており、接触したら危険です。
いきなりATTIモードに切り替わってしまう可能性もゼロではないため、8m/s以上の風が吹いていたら飛ばすのは要注意。
ハンドキャッチのやり方
ハンドリリースと比べてハンドキャッチは難易度が上がります。
うまくキャッチできるまで少しコツが必要ですが、慣れてしまえば驚くほど簡単にキャッチできるようになりますので着陸がラクになります。
ハンドキャッチで大事なことは、いかにセンサーに感知させずにキャッチできるか!
- 前方(カメラ側)を自分に向ける
- 自分の少し前に機体を下ろしてくる
- 手のひらを上に向けてキャッチする
- キャッチしたらすぐにプロペラ停止
- これだけは気を付けるべき注意点
ハンドキャッチの際はカメラ側を自分に向ける
帰還させる際に大事なことは、機体の前側(カメラ側)を自分のほうへ向けることです。
よく「ドローンの後側からハンドキャッチしたほうが良い!」と言う人がいますが、危険度でいうと断然そちらのほうが危なく怪我しやすいです。おまけに、センサーが下部の後方に付いていることもあり反応しやすく掴みづらい!
写真を見てもらうとわかりますが、構造的に後方部よりも前方部のほうがプロペラの位置が高くなっています。
キャッチする際には下から手を伸ばしてキャッチするわけで、そうなると少しでもプロペラから離れていたほうが怪我をするリスクが下がります。
また、前方のプロペラアームは後方のプロペラアームよりも広くなっているため、いざキャッチするときに前方のほうが開放感があってキャッチしやすく、怪我のリスクも下げれます。
後部側からキャッチすると、機体を掴みづらくプロペラも近い。また、
自分の少し前にドローンを下ろしてくる
ドローンを下ろすときに重要なのは、自分の少し前・手を伸ばした位置にドローンを下ろしてくることです。
理由は、ドローンの障害物センサーが作動してしまうのを防ぐため。
機体によっては障害物センサーは全方向に付いており、真上や真正面から近づくとセンサーが自分に反応してしまいます。
自分の少し前にまっすぐ下ろしてくることでセンサーが反応することなくすんなりキャッチできるのです。
大事なことは、いかにドローンのセンサーに自分を感知させずに下ろすかです!
動画を見てもらうとわかる通り、真正面から帰還させても前部のセンサーが反応してしまって自分に近づきません。しかし、頭より少し上ですと前部のセンサーは反応しませんので、自分に近づけれます。
自分の頭より高いところで、自分の少し前に下りるように調整して下ろすと、センサーに反応することなくキャッチできるのです!
前部のセンサーは物や人などに近づくとブレーキが掛かるようになっていますが、目の前に急に物や人が現れると、それ以上スティックを倒しても進まないだけで逃げようとしません。
手のひらを上に向けてキャッチする
キャッチするときは、手のひらでドローンを受け止めるようにしてキャッチしましょう!
こちらのほうがプロペラに接触する可能性が低く安全です。
手のひらにドローンをただ乗せるのではなく、それと同時にしっかり掴むことを忘れないように。大事なのは指全体を使って掴むこと。
要注意!
しっかり掴んでしまうと指がプロペラに当たりやすくなります。特に、指が長い人や手が大きい人は、指全体でしっかり掴むイメージを忘れずに!
Miniシリーズなどの軽い機体なら、掴み取るようにキャッチしてもOKです。
センサーに反応させてキャッチ!
ハンドキャッチする方法は大きく2つあります。
- わざとセンサーに反応させキャッチ
- センサーに反応させずにキャッチ
自分の少し前にドローンを下ろしてくるわけですが、そこに手を出しているとドローン下部のセンサーが反応してしまって大体30cmくらいの高さで一度止まって軽く上昇(逃げ)します。
上昇してもそのままスティックを下に倒し続けていると、センサーが地面だと錯覚してくれてドローンは着陸モードに入りそのまま下りてきてキャッチ可能です。
あえてセンサーに反応させることで安全にゆとりを持ってハンドキャッチできますので、初めてやる方はこちらの方法でやったほうがいいです。
慣れてきたら、センサーに一度も反応させずにキャッチする方法を試してみてください!
センサーに反応させずにキャッチ!
慣れてくればセンサーに反応させずにキャッチできます。
ドローン下部のセンサーに反応させないためには、キャッチする寸前で手を出すことです。
急に手を出されてもセンサーの感知が間に合わないためキャッチできます。逆に手を出すのが早すぎると、キャッチした途端にセンサーが反応して上昇しようとします。
キャッチできる場所に機体をもってきてホバリングさせ、そこで機体をキャッチすればOKです!
後側だとセンサーがあるので反応しやすい
ドローンの障害物センサー(下部)はうしろ側にあります。
うしろ側からキャッチしようとすると、そのセンサーに手が反応してしまい機体が逃げてしまいます。
前側から手を出すことでセンサーがなく反応しないため掴めるのです。
繰り返しますが、うしろ側のプロペラはドローン本体に近いため掴みづらいですし、センサーも反応しやすいということで、ハンドキャッチをするなら間違いなく前側からをお勧めします!
キャッチしたら速やかにプロペラ停止
いざドローンを左手でキャッチしたら、そのまま右手に持っているプロポの右スティックを下に倒し続けることでプロペラの回転を停止できます。(モード2の場合は逆)
センサーが反応しても…
ドローンをキャッチすると運悪く下部センサーが反応してしまい、ドローンが全力で上昇しようとしますが、そのままドローンを掴んだまま離さずスティックを下に倒し続けましょう!しばらくすると止まります。
連続してハンドリリース&ハンドキャッチ!
慣れてしまえば、動画のようにハンドリリースとハンドキャッチを繰り返し何回でも行えます!
繰り返しますが、コツは下部センサーに反応させないこと。特にカメラ側からスッと手を出せば反応する前にキャッチできます。
他のドローンではどうなのか?
Mavic 2シリーズ以外のドローンでハンドリリース&ハンドキャッチを行うのは比較的簡単で、基本的には小さい機体ほどやりにくく、大きい機体ほどやりやすくなっています。
詳細には紹介しませんが、簡単なやり方だけ書いておきたいと思います。
Phantom
Phantomシリーズは、わざわざハンドリリース&ハンドキャッチ用の脚が付いていますので、それ専用の機体と言ってもいいと思います(笑)
なにせプロペラとキャッチする部分がかなり離れていますので、怪我をする確率も低く、誰でも簡単にキャッチすることができます。
キャッチする時には片手で脚を持つことになりますが、プロペラを止めるまでは片手で持っても機体は傾きませんので、安心して掴めます。
Phantom自体はそこまで機体が重くありませんので、片手で楽々掴めると思います。
初心者の方など、たまに着陸の際にうまく地面に着陸できずに倒してしまう人も多いと思いますので、ハンドキャッチできるようになればこちらの方が楽ですね!
Tello / Spark
TelloやSparkは機体が小さく、プロペラも小さいですのでキャッチする際の恐怖感などはさほどありません。
機体とプロペラが近いですので怪我をする危険はありますが、とにかく軽いですのでハンドリリース&ハンドキャッチの際には、キャッチするというよりも手のひらに乗せる感じで行いましょう。
機体をしっかり握ってしまうとプロペラに当たる可能性が高いですので要注意!
Inspire
Inspireは機体が大きく重さがありますので、ハンドリリースは絶対に出来なくはないですが、やらないほうがいいと思います。やるのでしたら、後方部のバッテリーを持ってやるのはもちろん、2人でやることは必須です!
ハンドキャッチに関しては、プロペラアームの位置によってキャッチの仕方が2通りあります。
・アームが下がった機体を上からキャッチ
・アームが上がった状態でバッテリーをキャッチ
Inspireはプロペラアームが上がったり下がったりしますので、それに応じてキャッチする場所を決めます。
とにかく機体もプロペラも大きいですので、やる際には細心の注意を払う必要があります。当たれば、指は切断になるでしょう!
Mavic Air
Mavic Airは前方と後方、下部にセンサーがありますが、下部のセンサーは後側にしか付いていませんので、前側(カメラ側)からキャッチすればセンサーに反応することなく楽々キャッチ可能!
ハンドリリース&キャッチの仕方はMavic 2と同じになりますので、その通りにやればMavic 2よりかはすんなりキャッチすることが可能です。
ただ、プロペラは機体と近いですので、接触しないように気をつけなければなりません!
ハンドリリース・ハンドキャッチに適した状況
ハンドリリースとハンドキャッチに適した環境は下記のとおり。
- 地面が水平でなくドローンを置けない
- 地面が汚くて置けない
- 砂がモーターに入る可能性がある砂浜
- 動いている乗り物から離着陸させる時
野外で撮影していると、地面にドローンを置けないシチュエーションは多数あるため、その時にハンドリリースとハンドキャッチができれば困ることはありません!
細かい砂がある場所もできるだけ地面からの離発着は避けたほうがいいです。ドローンが巻き起こす風によって砂が舞い、モーター部分に入り込んで故障の原因になります。
船の上から飛ばす機会もあるかもしれませんが、船に広いデッキなどがあればいいですが、小さな船はスペースがありませんし、船は動いていますので手でキャッチするしかありません。
離着陸に持っておくべきアイテム
強風時のハンドリリース・ハンドキャッチは危険です。
風速を測るのに「風速計」は役立ちます。
風がほとんど吹いていなければ必要ないですが、持っておいて損はない商品です。
わたしは一応持ってますが、もう何年間も使ってません…
ハンドリリースとハンドキャッチに慣れてしまうと、それ以外で離着陸することはありませんが、一応持っておきたいのがInspireなど中型・大型ドローンを使う際には必要です。
まとめ
ハンドリリース・ハンドキャッチの方法を解説しました。
離着陸時にはプロペラが顔に近づくため危険が伴いますが、細心の注意を払ってやることで環境に左右されることなく離着陸できるため、ぜひ習得しておきましょう!