鉄道を含む動く被写体の空撮(動体空撮)って少し難しいですよね?
動いてるものを撮るわけですから、綺麗に撮る難易度は上がります。
わたし自身これまで何度も鉄道を空撮していますので、鉄道と同じ速度で斜めに飛ばして、カクッとなることなく綺麗に撮ることができます。
この記事では、鉄道(電車)をドローンで撮影する際に必要な、
- 斜め飛行を上手く操作する方法
- 斜め飛行をする際の注意点
- 斜め飛行→横飛行→斜め飛行の撮影
などについて解説していきます。
鉄道を上手く撮れるようになれば、例えば「船」や「車」など、ほかの動く被写体も撮れるようになりますので、ぜひマスターすることをおすすめします!
鉄道空撮の基本「斜め飛行」
鉄道を空撮する上で、斜めに飛ばす「斜め飛行」は必須な操作になります。
よく見る構図が、上の写真のように鉄道の斜め前方にドローンがあり、その場所をずっと維持しながら鉄道と同じ速度で斜めに飛行するものです。
「斜め飛行」の操作自体は難しくはありませんが、綺麗に撮影するのはまた別で、
- 電車の速度と合わせる
- 電車との距離を一定にし続ける
この2つを満たしていないと、綺麗な絵は撮りづらいです。
斜め飛行はこんな感じのやつです↓
斜め飛行で上手く撮るコツ
斜め飛行で綺麗な映像を撮るには、ドローン感をいかに出さないかが重要です。

つまり、映像を見ている人に「あ、これドローンで撮ってるな」と思わせないこと!
具体的に言うなら、被写体となる鉄道とまったく同じ速度で、まったく同じ距離を保って飛ばし続けることで、ドローンで撮ってる感が出ず、非常に綺麗な映像を撮れます。
ただ、同じ速度・距離を何秒も維持するのは難しく、スティックの加減次第でドローンのスピードが出過ぎてしまったり、鉄道から離れて行ってしまったりします。
スティックの力加減が全て
斜め飛行で大事なのは、当然ながらスティックの力加減です。
「右移動/左移動」と「前進/後進」のスティック操作を同時にするわけですが、お互いの加減の強弱によって、速度が速くなったり遅くなったり、鉄道に近づいたり離れて行ったりします。
この絶妙な力加減で斜め飛行は実現しますので、繊細な操作ができるよう練習が必要。
微調整を繰り返す
斜め飛行を始める時に「ここだ!」というスティックの加減を見つけ、撮影中はそれを維持することになります。
しかし、何秒も斜め飛行をしていると、最初のうちは良くても次第に速度や距離がズレてきてしまうことがあり、そうなるとその都度「微調整」をする必要があります。
この「微調整」を映像上ではバレないようにすることで綺麗な映像を撮れるのですが、この微調整もなかなか難しく、ついスティック加減を間違えてカクッとなってしまいますので、いかにカクッとならず、映像上でバレないように微調整するかがコツです。

この微調整・修正力も練習が必要ですね!
斜め飛行のスティック操作
ドローンを斜めに飛ばすための操作自体は簡単です。
- 進みたい方向に「前進/後進」のスティックを入れる
- 進みたい方向に「右移動/左移動」にスティックを入れる
両方のスティックを同時に入れ、その力加減によって斜めに飛ばすことができます。
モード1とモード2、どっちがいいの?
ドローンを斜めに飛ばす際に、モード1と2では操作方法が異なります。
- モード1は左右のスティック2本を使う
- モード2は右側のスティック1本のみ
正直なところ、斜め飛行するならモード1のほうがやりやすいと個人的には思います。なぜなら、スティック2本で操作するほうが微調整がしやすいからです。

そもそも、スティックを倒して同じ位置で維持するのは大変で、左右上下に倒すだけならまだラクですが、斜めに入れた状態で維持するのは結構大変。
スティック1本の場合、一度決めた位置を維持するのは簡単ですが、微調整となると、ものすごく中途半端な位置(斜め)でスティックをとめなければならないため難しい。
一方スティック2本の場合、片方のスティックを左右に、もう片方を上下に倒せばよく、斜めにスティックを倒し固定する必要がないため操作しやすいです。
スティックは指2本で操作
これは「斜め飛行」の時だけではないですが、ドローンは指2本で操作したほうがいいです。

まぁ当然ですよね。より繊細な操作がしやすくなりますので。
スティックは必ず中央に戻ろうとするわけで、その中央に戻る力に抵抗して適切な位置で固定することが求められるわけですが、指1本で抵抗するのと指2本で抵抗するのと、どちらのほうがラクかと聞かれれば、当たり前ながら指2本ですよね。

指を2本使ってほかの操作に支障があるなら問題ですが、特にありませんし、チルトも中指でまわせばいいだけですからね。
鉄道空撮は特に繊細な操作が必要ですし、微調整も必要ですから、絶対に指2本でやったほうがいいですね。
関連記事 【実践編】ブレないカクつかないプロポ操作(チルトとズームのダイヤル操作)
斜め飛行をやりやすくする方法
ドローンの斜め飛行は繊細なスティック操作次第ですが、それを少し手助けする方法がいくつかありますので、なかなか上手く撮れない人は参考にしてみてください。
距離をとって撮影する
鉄道(被写体)から離れれば離れるだけ、操作は簡単で綺麗に撮影することができます。
理由は、映像に映る鉄道(被写体)が小さくなるからですね。
斜め飛行すると、次第に近づいたり離れたりしてしまうわけですが、距離をとって遠くから撮影していると、近づいたり離れたりするのが映像上で分かりづらくなるため、結果的に綺麗に撮れるということです。さらに、微調整しているのもバレにくくなります。

画面に目一杯鉄道が映っていると、下手さ加減が一目瞭然になりますので要注意です^^;
ズームしないで撮る
光学ズームやデジタルズームができる機種がありますが、ズームして撮影してしまうと、画面上で被写体がズレてきてしまう様子や微調整する様子がかなり目立ってしまいます。

慣れるまではズームは使用しないほうがいいです!
鉄道(線路)に接近するのは危険なため、少し離れた場所からズームをして電車を大きく映したい人もいるかもしれませんが、残念ながら綺麗に撮れないことのほうが多いです!
自動操縦で飛ばす
自動操縦アプリ「Litchi」などを使って、あらかじめ飛行ルートを決めて一部を自動飛行にすれば、すべての操作を自分でやる必要がなくなるため、操作は幾分ラクになります。
ただし、自分で飛ばして映像を撮りたい人には向いておらず、撮る楽しみはないです。仕事などでは自動飛行を使うのはありだと思いますが…。
カメラを斜めに向けて飛行
一部の機体(Mavic 2やMavic Air 2など)では、カメラを斜めに向けることができます。
Mavic 2の場合には、「DJI GO 4」アプリを開いて画面上を指で横に動かすとカメラの向きを変えることができ、そのまま撮影することができるのです。
カメラを斜めに向けられると「斜め飛行」する必要がなくなり、ただ単に鉄道(線路)に対して並行に「前進/後進」すればいいだけですので、操作的にはめちゃくちゃ簡単!

ただ、最初にしっかり鉄道(線路)と平行になっていないと次第にズレてきてしまいますので、そこは微調整する必要あり。
斜め飛行する際の注意点
「斜め飛行」する際にいくつか注意点があります。
障害物を事前に確認する
特に後進しながら「斜め飛行」する際には、うしろ側は見えないわけですので、必ず電線やそのほかに障害物がないか確認しておく必要があります。
海岸線を走る鉄道の撮影なら障害物がないことが多いですが、それでも万が一確認しておく必要ありです。
鉄道(線路)への接近に注意
鉄道の空撮は被写体が常に動いていることから、つい鉄道(被写体)に意識がいってしまい、そこだけに集中してしまってまわりが見えなくなってしまいます。
よくあるパターンが、鉄道をしっかり捉えようと集中し、鉄道(線路)に近づき過ぎてしまうことです。鉄道に接近すると危険ですし、トラブルが起きたら大変ですので、ある程度離れたところで飛行させる必要があります。

最初のうちは鉄道ばかりに熱中してしまいがちですので、特に注意が必要ですね!
目視外飛行なので、申請必須(無人航空機)
鉄道を撮る場合は100%目視外飛行になりますので、国土交通省へ「目視外飛行」の許可申請は必須になります。(もちろんその他も必要に応じて)
ただ、重量200g以上の「無人航空機」ではなく、200g未満の「模型航空機」の場合にはそれらの許可は必要なく、航空法に関しては特別気にする必要はありません。
飛行マニュアルを遵守
残念ながら国土交通省への許可申請が済んでも、申請時の「飛行マニュアル」を遵守して飛ばす必要があり、自由に飛ばしていいわけではありません。
特に、「標準マニュアル」を使用して申請した場合には、
・高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。
という文言がありますので、付近で飛ばすことはできず、その場合には「独自マニュアル」を作成する必要があります。

鉄道の上空やその付近とはいったいどのくらいなのか?問い合わせましたが、具体的に何メートルと決まっているわけではないそうです!この辺はグレーですね。。。
鉄道空撮の応用「斜め飛行→横飛行→斜め飛行」
鉄道空撮の基本「斜め飛行」は、正直そこまで難しくありません。
しかし、「斜め飛行」からさらに機体を「横飛行」させ、さらに鉄道の斜め後ろにもってきて再び「斜め飛行」する一連の流れは難易度が高いです。
難易度は高い一方、これができれば鉄道がやってきて通過し、走り去っていく過程をすべて撮れますので、鉄道空撮としてはなかなかいい絵を撮れます。
こちらは被写体が車ですが、こんな感じの撮影手法です↓
斜め飛行→横飛行→斜め飛行の操作方法
- 鉄道の前方で「斜め飛行」を始める
- 次第に機体を回転させ「横飛行」
- そのまま回転させて鉄道の後方から「斜め飛行」
最初は「斜め飛行」で、鉄道の斜め前方にドローンを持ってきます。

鉄道と同じ速度で飛ばしてしまうと、それはただの「斜め飛行」になってしまいますので、鉄道よりも速度は少し遅くする必要があります。
鉄道より遅くすると、次第に鉄道が通過していきますので、それに応じて機体を回転させ(ヨーを入れる)、通過していく鉄道に対して横移動に移行します。
そして、そのまま過ぎ去っていく鉄道に合わせて機体をさらに回転させ、同時に「前進」のスティックも入れて後方からの「斜め飛行」を開始。
難しい点
この一連の操作をカクッとならず完璧にやるのは結構難しいです。
一体なにが難しいのか?
主に2つあります。
斜め飛行→横飛行の段階で遠ざかってしまう
斜め飛行→横飛行に移行する時に、つい機体が鉄道から遠ざかってしまいます。
それまで斜め飛行で「後進」のスティックを入れてるわけで、そこで「回転(ヨー)」を加えると、そちらのほうのスティック操作に集中してしまって、つい「後進」のほうの加減を緩めるのを怠ってしまうのです。

実際、鉄道に限らず動体空撮をしている人の映像を見てみると、この一連の動きをやっている人の全員が被写体から遠ざかっています!
遠ざかることは別に良いのですが、その次の段階に移行するにあたって、あまり綺麗な絵にはなりません。
横飛行→斜め飛行の過程でカクッとなりやすい
斜め飛行→横飛行に持ってきたのはいいですが、今度は横飛行→斜め飛行に移行する必要があり、この過程がもっとも難しく、ほぼ必ずカクッとなってしまい失敗してしまいます。
斜め飛行→横飛行は、機体が遠ざかってもいいならわりと簡単にできますが、横飛行→斜め飛行は、操作の関係上、本当に繊細なスティック操作をしないとすぐカクッとなります。
■なぜカクッとなりやすい?
- 後進斜め飛行→横飛行では、「後進」のスティックが入ってる
- 横飛行では、緩めてはいるものの「後進」のスティックが若干入ってる
- 横飛行→前進斜め飛行では、「後進」から「前進」のスティックを入れる必要がある
横飛行の段階でも「後進」にスティックを入れてしまっているため、そこから「前進」に持っていこうとする際にカクッとなってしまうのです。
最終的に、スティックを「後進」から「前進」にスムーズに切り替える必要があり、それと同時に鉄道に合わせて回転(ヨー)もスムーズに操作する必要があります。

同時にやることが多くて、しかも、どのスティック操作も繊細にやる必要があるため激ムズなのです!
上手く撮るコツ・設定
この一連の流れを上手くやるコツを書いていきます。
なかなか難しいですが、これらを意識することで多少やりやすくなります。
鉄道との距離を常に意識
斜め飛行→横飛行をやる際に遠ざかってしまう問題は、鉄道との距離を意識することで解決することができます。
斜め飛行の段階では、鉄道と距離があるように見えるのですが、回転させて横飛行に移行するにつれて、鉄道に近づき過ぎているように見えてしまいつい遠ざけてしまうのです。(実際には近づきすぎているわけではありません)
それに、操作の関係上、どうしても回転(ヨー)の操作に気を取られてしまい、後進のスティックを緩めることなくそのまま入れてしまいがちです。
距離を取って飛ばす
鉄道から距離と取って飛ばすことで少しは簡単になります。
なぜなら、
- 機体を大きく回転させる必要がない
- 映像に映る鉄道が小さいほど、微調整も目立ちにくくなる
からですね。
なにが難しいかって、斜め飛行→横飛行→斜め飛行への切り替えが難しいわけですから、それをあまりしなくていいということは、よりカクッとなりにくいということです!
微調整・修正はゆっくり
この一連の流れでは、高い確率でカクッとなってしまいます。
カクッとなる原因は、
- 慌ててスティック操作を急にやってしまうから
- スティックを同時に&正反対に動かす必要があるから
の2つになります。
被写体となる鉄道が画面上からズレてきてしまうと、つい焦って急なスティック操作をしてしまいがち。さらに、スティックを後進から前進に徐々に入れなければならず、つまり、正反対の位置にスティックを動かす必要があるため、滑らかに動かすのは難しいわけです。

正直、カクッとなってしまったらその映像は使い物になりませんから、急な操作をせず、ゆっくり滑らかに、多少ズレても気にしないことが大事ですね!
超重要!設定でヨーの感度を変更
ドローンによっては回転(ヨー)の値を変更することができます。
回転(ヨー)の値を変えることで、スティックを入れた際の敏感具合を調整することができ、より敏感にしたり、逆に滑らかな回転になるように調整できます。

正直、初代Mavic Miniなどの「ヨー」の感度を変更できない機体で、この一連の流れをカクッとならずに操作するのは極めて難しいです。
この値が敏感だとカクッとなりやすくなりますし、滑らかに設定すれば、ある程度スティックを入れてもゆっくり滑らかに機体は回転してくれます。
先程紹介した、斜め飛行→横飛行→斜め飛行の難しい操作は、このヨーの値を変えることで、カクッとなりにくくすることが可能です!(それでも難しいですけど…)
■ヨーの値を変える際の注意点
ヨーを滑らかにすればするほど、スティックを入れた際にゆっくり滑らかに回転してくれますが、逆にあまり滑らかにし過ぎてしまうと、今度は鉄道の通過に対して回転速度が追いつかない事態に陥ります。
なので、極端に滑らかにすればいいわけではなく、何度か練習してみて適切な数値を見つけるのが重要です。また、被写体の通過速度によっても回転に必要な速度は異なりますので、被写体に合わせて設定を変えるのもひとつの手です!
まとめ
鉄道空撮に必要な「斜め飛行」や通過していく一連の様子を撮影できれば、車や船などほかの動体を撮影する際にも使えますし、綺麗に飛ばせればなかなかいい映像になります。
難しい分とても挑戦し甲斐がありますので、ぜひ練習を積んでマスターすることをおすすめします!