神奈川県でドローンを飛ばそうと思ったとき、一番最初に思い付くのが湘南の海です。湘南のシンボル「江の島」をはじめ、海沿いを走る「江ノ電」も絵になりそう。
神奈川県の多くはDID地区(人口集中地区)に指定されており、湘南もほぼすべてが該当します。湘南で飛ばすには国土交通省の許可承認が必須ですし、飛ばす場所の許可も把握しておく必要があります。しかし、しっかり手続きを踏むことで湘南エリアでも飛ばせます。
この記事では、湘南エリアでドローンを飛行させる際の許可や、実際に撮影した映像を紹介していきます。
江の島や周囲の海岸でドローン飛行する際の許可
湘南エリアで撮影するとしたら、海岸か江の島周辺の海上になります。
- 片瀬西浜・ 鵠沼海水浴場
- 鵠沼海岸
- 片瀬東浜海水浴場
- 七里ヶ浜海岸
- 江の島
湘南エリアの海岸を管理している藤沢土木事務所によると、趣味でのドローン飛行に関して海岸使用許可は必要はなく飛行してOKとのこと。ただし、海水浴シーズンは許可されないこともあるため、7〜8月に撮影する際には事前に藤沢土木事務所へ確認しましょう。
一方、江の島周辺の海上を飛行させる場合には、湘南海上保安署への申請が必要です。飛行の数日前までに「事前連絡書」(様式はなんでもOK)を提出。水没させた際の回収方法も記載します。ちなみに江の島上空は飛行禁止です。
夏の海水浴シーズンを除き、湘南の海岸では申請の必要なく飛行可能。江の島周辺の海上は「湘南海上保安署」へ申請すれば飛行できますが、江の島上空は飛行禁止。
【国交相】DID地区・目視外などの許可承認
湘南の海岸や江の島はDID地区(人口集中地区)に該当するため、国土交通省から許可承認を得ている必要があります。
海岸から飛ばす場合、30m以内に人がいたり人工物がある可能性が高く「30m以内〜」の許可承認が必要。映像撮影ならモニターを見るため「目視外飛行」の許可承認もいります。
申請を怠ると航空法違反になるので注意が必要です。
【事前準備】警察に連絡&FISSに登録
業務でドローンを飛行させる人は当然の行為ですが、趣味でも人の多い地域で飛ばす際には事前に警察に連絡しておくと安心です。通報されても迅速に対処してもらえます。
通報されて操作中に警官がやってきてしまうと飛行を中断せざるを得ません。実際に江の島で通報された例もあるので、飛行前はなるべく一言連絡を入れておきましょう。(必須ではありません)
飛行場所にかかわらず、飛行前は必ずFISSへの登録も忘れずに。
江の島のドローン空撮映像
江の島の撮影は周辺の海岸から離発着させるのが一般的で、主に島の外観を撮影します。
30分以上飛ぶ機体であれば、島を一周しても全然余裕があります。電波に関しては、島の反対側へまわったときに、島がプロポ(送信機)と機体の通信を遮ってしまわないよう注意すれば問題ありません。
真裏へ行くと多少電波状況が悪くなることもあります。無理し過ぎないことはもちろん、RTHの設定(高度)も確認しておくと安心ですね。
江の島の裏側から藤沢・鎌倉の街並みを望む絵を撮れるのはドローンの特権です。拡大すれば遠くに横浜のランドマークタワーも見えます。
おすすめの天気はやはり晴れの日。富士山がばっちり見えるため、富士山と江の島の絵はぜひ撮りたいところ。夕日と江の島のコラボも素晴らしいと思います。
江ノ電のドローン空撮映像
鎌倉市にある七里ヶ浜沿いには、ドローン空撮に適した被写体「江ノ電」が走っています。
これまで幾度となく鉄道空撮をしていますが、かの有名な江ノ電を空撮できる区間があるなら、これはもう撮らないわけにはいきません。
ただ七里ヶ浜は有名で人気な観光スポットなので、観光客にサーファーにたくさんの人がいます。第三者の上空は飛べませんから、海上沖からの撮影がメインです。
24mmでは広角すぎて被写体に近づく必要があるため使えません。そこでDJI Mavic 3に搭載されている162mm望遠ズームの出番。162mmもあれば、かなり寄りの絵を撮れます。
162mm望遠で動体空撮は難易度上がる
24mmの広角で鉄道を追い撮りするのは簡単ですが、162mmの望遠で追い撮りするのはほんの少し難易度は上がります。
操作に関しては、広角で撮影するときと若干操作性は変わりますが、慣れてしまえばそこまで難しいものではありません。広角での撮影時に綺麗に追い撮りできていれば問題なし。
シャッタースピードは速すぎるとパラパラな映像になりますし、遅過ぎても、被写体と同じ速度でないとブレてしまい微妙な映像になってしまいます。フレームレートの倍くらいが理想です。
望遠での動体空撮で難しいのがピント調整(DJI Mavic 3)です。AFでしっかり狙った場所にピントを合わせマニュアルで撮ります。しかし、いざ追い撮りしていると被写体との距離も多少変わることから、ピントが甘くなっていることが多々あります。
こればかりは難しいですが、撮影中は操作はもちろん、ピントにも目を配りながら操作しないとあまり綺麗な映像は撮れません。
望遠で撮影すると映像は高確率でブレますがブレ補正すれば解決!
鉄道空撮は「航空法」に注意
鉄道空撮は航空法に違反するおそれがあります。
国土交通省へ許可承認を申請する多くの方は「航空局標準マニュアル」で申請していますが、このマニュアルでは線路上空や周辺での飛行が禁止されています。
周辺とはいったい何メートルなのか、明確な答えはありませんが…。(ヘルプデスク答え)
独自マニュアルにしたとしても、依頼されての撮影でない限り撮影は難しいです。「周辺」をどう解釈するかは現状パイロットの判断になるわけですが、当然ながら30m以上は離れる必要があります。
七里ヶ浜は観光客やサーファーが多く、第三者上空を飛べないため必然的に離れた位置からの撮影になります。冬は人も少なく岸へ近づけますが、それでも道路はたくさんの車や人が往来しているので、近づいての撮影は危険。
万が一鉄道を停めてしまったら大変な損害ですので、撮影する際はくれぐれも線路に近寄らないこと、距離を十分に取ること、いつも以上に安全第一で飛行させましょう。
まとめ
江の島や江ノ電などの湘南エリアでのドローン空撮について紹介しました。
人気エリアですが、意外とドローン空撮はできます。
- 江の島:湘南海上保安署への申請が必要/島の上空は飛行禁止
- 周辺の海岸:海水浴シーズン以外は自由に飛行可能
観光客も車も多い場所なので、事故が起きる確率も上がります。周囲や安全に配慮して飛ばすのはもちろんのこと、警察に通報されるリスクもありますので、事前の申請など準備万端にして飛ばしましょう。
江の島や江ノ電の映像はTVで使用される
YouTubeに江の島や江ノ電のドローン映像を投稿していると、TV局から使用したいとの連絡がきます。わたしも何度か映像提供していますし、とある電車図鑑のDVDに使いたいと有償で提供したこともあります。