愛媛県にある西日本最高峰「石鎚山」。
どのシーズンも素晴らしい景色を撮れる石鎚山でドローン空撮をしたい人もいると思います。
霊峰である石鎚山の山頂には石鎚神社があり敷地内での飛行は禁止されています。ただし飛行可能な場所もあり、しっかりルールを守れば飛ばせるのです。
この記事では石鎚山での飛行許可や実際に撮影した映像、石鎚山の行き方などを紹介します。
何度も飛ばしたことのある経験から書いてます。飛ばす際には参考に!
石鎚山でのドローン飛行許可
石鎚山でのドローン飛行は可能です。
周辺一帯は国定公園であり国有林になっていますので、飛行させるには森林管理署へ「入林届」の提出が必要です。入林届さえ提出すれば飛ばしてOK。
ただし、石鎚山の登山道や山頂の一部は石鎚神社の敷地となっており、敷地内での飛行は禁止されています。
どこが石鎚神社の土地かしっかり把握したうえで飛行させましょう!
石鎚山一帯は国有林
石鎚山を含むこの辺一帯はすべて国有林になっており、ドローンの飛行には事前に愛媛森林管理所に入林届を提出する必要があります。
愛媛森林管理署
shikoku_ehime@maff.go.jp
(089-924-0550)
提出はメールや郵便、持ち込みに対応。少なくとも1週間前には提出しましょう。
入林届は記入事項に問題がなければ受理され誰でも飛ばせます。受理されたら事前に森林管理官に連絡したうえで申請日に現地で飛行するかたちです。
入林届は以下の公式ホームページからダウンロードできます。
以下からもダウンロード可能。
入林届: (WORD : 22KB) (PDF : 119KB)
別紙遵守事項: (PDF : 94KB)
公式サイトの「国有林野内で無人航空機(ドローン、ラジコン機等)を飛行させる場合の手続」のページにあるドローン飛行の注意事項を一読しましょう。
入林届の書き方はUFOラインの記事でも丁寧に解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。思ってるよりも簡単です。
石鎚神社の敷地は飛行禁止
石鎚山では入林届を提出すれば飛行可能ですが、石鎚神社の敷地内は飛行禁止です。
具体的にどこが石鎚神社の敷地なのか?
- 弥山(宿泊施設や奥宮がある場所)
- 登山道(表山道・土小屋)
ロープウェイ側から登ってくる登山道や土小屋からの登山道が石鎚神社の敷地なので、登山道からの離発着および上空通過は禁止です。
山頂は石鎚神社頂上山荘がある「弥山」が敷地になっており離発着や上空通過はできません。弥山は広くなっているため離発着しやすいですが禁止。
山頂で飛ばす場合には、弥山のさらに奥にある「天狗岳」や「南尖峰」へ移動して飛ばす必要があります。そこなら石鎚神社の敷地外なので入林届さえ提出していれば飛ばすことが可能。
石鎚神社の敷地外なら「入林届」を出していればドローン飛行OK!
山頂より上空は飛行禁止!?
「山頂で飛ばす際、山頂よりも高度をあげて飛ばすのは避けてほしい」
入林届を提出する際に森林管理署からこのように言われます。どうやら2021年に入り石鎚神社から森林管理署へ要請があったようです。
いやいやそれじゃ空撮できないじゃん(笑)
石鎚神社側からすると、登山客との事故を避けたいとのこと。あとは「神様をうえを飛ばすのか」的なお話で、敷地内だけでなくできれば周囲でも飛ばしてほしくない様子。
入林届も出さずに人で混み合う「弥山」から飛ばす人もいますし、ドローンが登山客とぶつかりそうになりヒヤヒヤしたことがある、と以前神社の方もおっしゃってました。
これはあくまでお願いであり、法律的には敷地外での飛行はなんら問題ありません。ただし、神社や登山者への配慮は大事なので、南尖峰のほうから離着陸し山頂から離れた位置で飛ばすことをおすすめします。
石鎚山でのドローン飛行の注意点
石鎚山で何度も飛ばした経験から、ドローン飛行させる際の注意点を紹介します。
- 絶壁なため地表面150m注意
- ヘリコプターが来る可能性
- 強風が吹くリスク
高度150m超えに注意
石鎚山の山頂は切り立っているため、航空法の150m高度制限には注意が必要です。
この制限は地表面(飛行中のドローンの真下)から150mであって、離陸地点(操作地点)から150mではありませんので注意。勘違いしている人が多いです。
飛行中はドローンが地表面からどのくらいの高さを飛んでいるのか把握できません。山頂から離れれば離れるほど地表面からの高度が上がるため、知らず知らずのうちに150mを超えてしまう可能性があります。
もし150mを超えそうな場合には、空港事務所に連絡し必要な手続きを踏むことで150m以上の空域を飛ばせます。
突然のヘリコプターに注意
紅葉シーズンになると、石鎚山の山頂にヘリコプターが飛んでくることがあります。
数年前、石鎚山に2週連続登ったとき、2日とも山頂付近にヘリコプターが現れました。物資を下ろすことなく、救助に来た様子でもなく、報道だったのかなぁと思いますが…。
ヘリコプターを発見したり音を聞いたら、状況を見てすぐ帰還行動に入りましょう。モニターに有人機が接近している警告が出る可能性もあるため、常に警告には目を配るように。
強風時は飛ばさない
石鎚山は標高1,982mあるため、特に山頂付近は強風に注意しましょう。
突風が吹いたり不規則な風の流れでドローンが未帰還になる可能性が高いです。山頂で「ちょっと風が強いなぁ」と思ったら飛行を断念しましょう。無理に飛ばすと本当に未帰還になるエリアですので、くれぐれも強行しないように。
離発着地点では風は弱くても、少し離れれば一気に強風になることもあり得ます!地上の風とは全然違うため侮らないように。
下記のことを守ることで未帰還のリスクを減らせます。
- 風が強いなと感じたら飛行しない
- 重量の軽い機体では飛行しない
- 天気のいい午前中に飛ばす
- 風上から風下へ飛ばす
風が強いと感じたら飛行しない
飛行前に「まぁ大丈夫だろう」とか「ギリギリいけるかも」なんていう言葉が頭に浮かんだら、その時点で飛ばさない決断をしましょう。
辛い思いをして山頂に到着し、飛ばさない決断をするのはなかなか難しいものです。自分も絶対に「大丈夫だろう」といって飛ばしてしまいます(笑)
ただ、これをやると未帰還になる可能性が高くなることは経験上わかっています。特に石鎚山周辺は立ち入りが難しく回収は不可能ですので、絶対に無理せず飛行を躊躇しましょう。
軽い機体では飛行しない
重量の軽い機体で飛ばすのはNGです。
軽い機体でも風速8m/sくらいは性能上耐えれますし、少しの風なら飛んでくれます。ただ、軽い機体はそもそもパワー不足なため、ホバリングは頑張ってくれますが移動することが困難になります。
耐風性能の数値を当てにするのは絶対NGです!
山頂付近の風は読めず、離陸ポイントから離れるとより強い風が吹いていることが多いので、帰還できなくなります。
山頂で飛ばす際には、必ず200g以上の無人航空機でそれなりにパワーのある機体を使うべきです。DJIで言えばAirシリーズやMavic 3がおすすめ。
天気が安定している午前中に飛行
一概には言えませんが、山の天気は午後よりも午前中のほうが良好なことが多いので、できるだけ午前中に飛行させることをおすすめします。風も午後になるにつれ強まるケースが経験上多いです。
風上から風下へ飛ばす
ドローンを飛ばす際には風上から風下へ飛ばします。
強風時に、風上にドローンがいれば帰還させるのは簡単です。その一方、風下にドローンを飛ばしてしまった場合には、距離やバッテリー状況によっては帰還できなくなります。
山頂で飛ばす際には事前に以下のことを確認します。
- 風上と風下を把握
- 少し飛ばしてテストフライトする
風上でしか飛ばさないようにすれば、風が少し強くても無事に帰還させれますよ!
石鎚山のドローン空撮映像
2020年の紅葉シーズンに空撮した石鎚山の映像です。
快晴で無風だったこともありドローン日和でしたが、すでに山頂付近の紅葉は終わっており、少し汚い感じになっています。
2020年の年末に冬の石鎚山を撮影したときの映像です。
冬は登山客も少なく非常に飛ばしやすい環境です。山頂は寒いので身体を温めておかないと震えてしまってスティック操作に悪影響を与えます。繊細な操作をする際には、指先よりも身体を温かくしたほうがいいと学びました。
2021年、山頂の紅葉ピーク時に撮影した映像です。
山頂付近だけが紅葉しており、少し下の木々はまだまだ緑色。この日も雲ひとつない快晴&無風で飛ばしやすい環境でしたが、休日なので登山客がたくさんいて配慮しながらの撮影になりました。
石鎚山の紅葉は北壁がもっとも綺麗で、北壁を撮るには午前中がおすすめです。ただし北壁側は石鎚神社の敷地内となる登山道がありますので飛行範囲は限られます。
2022年の紅葉シーズンに撮影した映像です。
映像や写真では見ることのない南東側を撮影しました。南東側は登山道がなく、石鎚スカイラインから遠くに見るしかありません。おそらくドローンでここまで寄って撮影したのは初ではないでしょうか?
南東側の紅葉はとても綺麗で新たな発見となりました。山頂直下がここまでゴツゴツした岩場だったとは知らず、南東側から撮る石鎚山はとてもかっこよかったです。
見る方向を変えると南先鋒が尖っており「槍ヶ岳」みたいに見えます!
2023年は前年に開拓した南面の紅葉をメインに撮影。
実は南面は紅葉がめちゃくちゃきれいなのですが、山頂からも石鎚スカイラインからも見れず、まさにドローンでしか見れない景色となっています。
また、墓場尾根や南尾根(南陵)など、険しいごつごつした岩場もあり見応え抜群。想像以上に撮り甲斐のある光景で、アングルを変えてさまざまなカットを撮りました。
初心者でも登れる「石鎚山」
石鎚山は以下3つの総体山になります。
- 石鎚神社がある「弥山(みせん)」
- 最高峰の「天狗岳(てんぐだけ)」
- 切り立つ「南尖峰(なんせんぽう)」
標高は1,982mで、愛媛の最高峰であり西日本最高峰でもあります。
山頂には石鎚神社の奥宮があり、宿泊する施設や食堂・売店などもあって充実。
登山ルートはいくつかありますが、ロープウェイで途中まで行けるルートや車で標高の高いところまで行けるルートがあり、初心者でも簡単に登れてしまう難易度の低い山です。
石鎚山の登山ルート
ルートはいくつかありますが、一般的な登山道は以下2つです。
- 表山道ルート
- 土小屋ルート
どちらもコースタイムが2時間30分〜3時間程度ですので、わりと簡単に登れるのが特徴。
最短で登れる超初心者ルートは「土小屋ルート」になります!
表参道ルート
- コースタイム:3時間
- 距離:4km
愛媛県西条市側から登るルート。
途中までロープウェイを利用しそこから登山を開始します。多くの人が利用し、約8分間のロープウェイで麓から一気に高度を上げれます。
体力的にはこのあと紹介する「土小屋ルート」から登ったほうがラクですので、体力に自信がない人はそちらのコースがおすすめ。
冬は冬季通行止めの影響で「土小屋ルート」が使えませんので、こちらの「表参道ルート」からでないと登れません。
ロープウェイ乗り場には、駐車場がしっかり用意されています。
土小屋ルート
- コースタイム:2時間30分
- 距離:4.6km
愛媛県久万高原町側から登るルートで石鎚山へ最短で登れます。
7合目から登り始めるため、高低差も少なく体力的にもっとも登りやすいルートです。
終盤までは緩やかな登り道で急登がなく、危険な箇所もないため登山初心者の多くも利用しています。
土小屋へのアクセスが可能な人は、ぜひこちらから登ることをおすすめします!
車でのアクセスがおすすめ
土小屋へは車で行けますし駐車場も用意されています。
行き方は以下2つ。
- 久万高原町「石鎚スカイライン」経由
- 西条市から「UFOライン」経由
松山方面から行く場合、久万高原の「石鎚スカイライン」で行くことをおすすめしますが、石鎚スカイラインは朝7時から通行可能で、冬季は通行止めになるので注意。
西条方面から行く場合、寒風山トンネルの傍からUFOラインを通って土小屋まで行くことになります。こちらは門限がなく24時間アクセス可能です。
公共機関でも行けるが・・・
土小屋まではバスが運行しており、土日・祝日に久万高原町から1日2便ほど出ています。石鎚スカイラインを通るため、運行期間は冬季閉鎖が解除されている4月〜11月まで。
■参考リンク
土小屋へのアクセスは車やバイクが圧倒的に便利です!バスは不便!
まとめ
西日本最高峰「石鎚山」でのドローン空撮に関して紹介しました。
石鎚山の山頂ではドローンを飛ばせないと認識している人も多いですが、しっかり入林届を提出して石鎚神社の敷地に入らなければ問題なく飛ばせます。
山頂には登山客がいますので、できるだけまわりに配慮して飛ばしましょう。