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ドローン飛行時の強風の影響と対策は?風上・風下を把握して飛ばせば問題なし

空撮テクニック/操作方法

ドローンの飛行中は常に「風」に気を配っておく必要があり、とくに強風時には帰還できず墜落させてしまうリスクがあります。

この記事では、風速5m/s以上吹くなかでのドローン飛行について、実際の飛行経験からその影響と対策を解説しています。

強風時のドローン飛行は可能?

ドローンの性能的にある程度の強風時でも飛行可能です。

これは機体の「耐風性能」によります。機体のパワーや大きさが関係し、一般的に大きなドローンほどパワーが強く耐風性能も高いです。近年発売されているドローンの多くは風速10m/sまで耐えられる機体ばかりで、結構な強風時でも問題なく飛ばせます。

ただし、強風時の飛行は「航空法」に注意する必要が。

というのも、航空法の飛行マニュアルでは飛行可能な風速が決められており、それ以上の風速のときには飛行させれません。

航空法で風速5m/s以上は飛ばせない

ドローンを飛行させる際には国土交通省へ飛行許可・承認申請をしますが、その際に多くの人が使用する「航空局標準マニュアル」には以下の記載があります。

風速5m/s以上の状態では飛行させない。

国土交通省はドローンが安全に飛行できる風速を5m/sに設定しています。

もし「航空局標準マニュアル」で申請した場合、許可を取得したとしても風速5m/s以上では飛行できませんので注意が必要です。

航空局標準マニュアルで申請し、風速5m/s以上で飛ばすとアウト!

5m/s以上の飛行は独自マニュアル

最近発売されている空撮用ドローンは、性能的に風速5m/s以上は飛ばせます。機体の性能に問題ないなら、もっと風が吹いてる状況で飛ばしたいときありますよね?

風速5m/s以上で飛行させたい場合には「独自マニュアル」で申請する必要があります。

独自マニュアルとは?
あらかじめ国土交通省が用意している「航空局標準マニュアル」を使用せず、自身の飛行方法に合うよう自ら作成するマニュアルのこと。「航空局標準マニュアル」では飛ばせない場所や方法で飛ばせるのが大きなメリットです。

もし独自マニュアルで風速5m/s以上、機体の耐風性能の上限まで飛ばすなら、風速の箇所を下記のように書き換えればOKです。

3.安全を確保するために必要な体制
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
・風速5m/s以上の状態では飛行させない。

・メーカーが定めた風速抵抗値を超える状態、もしくはメーカーが定めた風速抵抗値を超えることが予想される状態では飛行させない。

例えばMavic 3の耐風性能は12m/sですので、独自マニュアルで申請することで12m/sの強風下でも飛ばすことが可能です。

強風時にドローンを飛ばすときの影響

強風時のドローン飛行は風の影響を大きく受けます。ヘリコプターや飛行機でさえ影響を受けますから、より軽いドローンなら当然ですよね。

性能的に問題がなくても、油断していると未帰還になるリスクが高まったり、そのほかさまざまな問題が生じる可能性があります。

映像が小刻みにブレる

いまの空撮用ドローンはとても優秀なのであまりありませんが、強風時には風による振動を吸収できず、映像が小刻みにブレてしまうことがあります。

映像がブレてしまうと使い物になりませんから、操作していて映像がブレるくらいの強風が吹いていたら撮影は中断しましょう。

風に流され障害物に衝突し墜落

GPSが良好なら機体が流されることはありませんが、GPSの電波が弱くATTIモードになると、機体はあっという間に流されます。機体が流された状態でうまく操作できないと、そのまま周囲に衝突して墜落。

例えば、滝や谷で飛行させているときに突然GPSが切れてATTIモードになることがあります。その時にしっかり「当て舵」を入れて操作しないとすぐに衝突するわけです。

GPSが効いていないATTIモードでも操作できるように!強風時にはGPSの電波が悪いところでは飛行しないように注意。

バッテリー切れで未帰還になる可能性

強風で機体を帰還させられないケースは多々あります。

行きは追い風で問題ないのですが、いざ帰還させるときに向かい風になっているパターンです。この場合、帰還させようとスティックをフルに倒してもあまり前へ進まず、バッテリー残量がなくなりそのまま墜落してしまいます。

強風時はバッテリー残量に余裕をもって帰還させることが重要ですし、追い風と向かい風を意識して飛行させないといけないのです。

強風時にドローンを飛行させる際の対策

強風時にドローンを飛ばす際、以下のことに注意することで紛失や事故を防げます。

  • 風上と風下を把握して飛ばす
  • 耐風性能の低い軽い機体で飛ばさない
  • バッテリーに余裕を持って帰還させる
  • 残り時間などを信じてはいけない
  • ハンドキャッチとハンドリリースは要注意

「風上」と「風下」を把握して飛ばす

強風時のドローン飛行でもっとも重要なことが「風上」と「風下」を把握することです。しっかり把握したうえで飛行させればドローンの未帰還を防げます。

  • 風上:風が吹いてくる方向(追い風)
  • 風下:風が吹いていく方向(向い風)

強風時に飛ばすなら「風上」から「風下」へ飛ばすことが重要です。

風上から風下へ飛ばすことで「追い風」になるため風の影響を受けません。むしろ通常よりも速度が出るので安全に帰還させれます。

逆に一番やってはいけないのが「風下」から「風上」への向かい風の飛行です。

このような状況では、ドローンは風に抵抗しながら進むため本来の速度よりも遅くなります。速度を出そうとモーター(プロペラ)をいつも以上に回転させるため、通常よりもバッテリーの消費が激しくなるのです。

風下から風上(向かい風)のときは、速度も出なければバッテリーの減りも早いので未帰還になってしまう可能性が高いわけです。

飛行前に「風上」と「風下」を把握。最初は風上に向かって飛ばし、風上から風下へ追い風に乗って撮影しながら帰還させることで未帰還のリスクを下げれます!

耐風性能の低い軽い機体で飛ばさない

強風時は耐風性能の低い、軽い機体では飛行しないようにしましょう。

ここで大事なのは販売元が公表している耐風性能の数値は当てにならないということ。

軽い機体でも強風に耐えられる耐風性能を持っているドローンがありますが、それはあくまでただの数字であって、当てにすると未帰還になりかねません。

私自身、強風が原因で機体の未帰還と緊急着陸の経験があります。どちらにも共通するのは重量の軽い機体を飛ばしたということです。

その時飛ばした機体はDJI社のMiniシリーズでした!

2つの経験から言えることは、強風時には軽い機体では飛ばさないということ。DJI社のAirシリーズやMavic 3など1kgほどある機体を最低限使用しましょう。

バッテリーに余裕を持って帰還させる

「風上」と「風下」をしっかり把握して飛ばせば問題ありませんが、突然風向きが変わることもあります。強風時のドローン飛行ではバッテリーに余裕を持って帰還させることをおすすめします。

具体的には半分の50%を切ったところで帰還操作をすべきです。近場なら30%くらいでOKですが、強風時は普段よりも余裕を持つことで未帰還や事故を防げます。

「残りの飛行時間」は信じてはいけない

高性能な空撮機には、バッテリーの残量を自動で計算してくれる機能があります。

要するに、ここまでの飛行でこれくらいのバッテリーを消費したから、帰りはこのくらいに帰らないと帰還させられないよ、と教えてくれる機能ですね。

強風時にこの機能を当てにするのは絶対にNGです。

その機能は、行きの速度や距離、バッテリー残量などを計算して知らせしてくれるわけですが、そこに「風」の影響は考慮されていません

つまり、行きは追い風で遠くまで行けたとしても、帰りは向かい風で同じバッテリー消費で戻ることはできないということ。この表示を過信すると未帰還になるので要注意。

ハンドキャッチとハンドリリースは要注意

ドローンを離発着させる際、ハンドキャッチとハンドリリースをする人もいると思いますが、どちらも自分の顔や体にプロペラがもっとも接近する瞬間で危険です。

風が吹いていると、離陸させた直後に自分の顔にプロペラが当たる可能性もありますし、キャッチする際に機体が揺れて、プロペラが指に当たって怪我をする可能性もあります。

離陸させるときはGPSの電波をキャッチしたのを確認してから飛ばし、滝や谷などGPSをキャッチできない場所では出来るだけ地面から離発着をしましょう。

強風で戻って来ないと思った際の対処法

強風で機体が戻ってこないと思ったときの対処法。

  • バッテリーに余裕があるなら帰還行動
  • バッテリーに余裕がないなら緊急着陸

バッテリーの残量によって、対処方法が異なります。

バッテリーに余裕があるなら帰還行動を続ける

帰還行動を続ける

バッテリーに余裕があるならまずは帰還を考えましょう。

Sモードでスティックを全開に倒しても進まない・後退する場合、高度を下げたり、風が弱そうな物陰に移動させたり、左右に移動させたりして頑張ります。

それでも戻って来ない場合、バッテリーの残量を見て、早めに安全に着陸できそうな(簡単に回収できそうな)場所を探し、緊急着陸を試みます。

バッテリーに余裕がないなら緊急着陸

緊急着陸させる

すでにバッテリー残量が少ない場合や戻ってきそうにない場合は、帰還させることを諦め、着陸できそうな場所を見つけて着陸行動を取りましょう。

例えば、山頂で飛ばしている場合、緊急着陸する場所は麓になることが多く、そうなると着陸場所も見つけづらいです。機体の高度を下げてしまうと送信機との電波は途切れてしまいます。

事前に緊急着陸できるポイントを把握しておくのが一番大事。手元のモニターに映る機体のカメラを真下に向け、着陸させても大丈夫そうな場所、回収できそうな場所を即座に選びます。手動である程度高度を下げたら、最後はアプリ上の自動着陸で着陸します。

交通量の多い道路などは絶対にNG!二次被害が出ない、着陸しても支障のない場所を瞬時に判断しましょう!

注意点

電波の届かない場所へ着陸させる場合、手動で最後まで着陸させようとすると、電波が途切れたときに(多くの人の設定では)自動的にホームポイントへ戻ろうとし、予期せぬ場所に着陸してしまいます。しっかり自動着陸機能を使って電波が届いている間に高度を下げ、最後は確実に着陸させます。

まとめ

強風時におけるドローン飛行の影響や対策を解説しました。

いくら機体の性能がよくても、空を飛んでる以上なにが起こるかわからず危険です。ぜひ性能に過信することなく、強風時に飛ばすときは最大限の注意を払って飛行させましょう。

大事なことは飛行の中止・中断の判断です。飛ばしたい気持ちはわかりますが、判断ミスが原因で機体が未帰還になったり事故になりますので、ぜひ判断ミスをしないよう心掛けましょう!